「物語」~二人の大切な場所~

千住在住。Tさんの投稿です。

千住に暮らして13年、3児の父の物語です。

もともと妻の実家があり、デートの場所に千住が選ばれることが多かった。
待合せはいつも北千住駅前のペットショップ。
別れる時もペットショップで動物をみないと帰れないという日々だった。

当時の妻から「おしゃれな珈琲店があるから行ってみない?」と言われたのがきっかけだったと思う。
二人でまちを歩きまわって疲れた後に、ちょっとだけ背伸びをして寄った憩いの場だった。

大きなカウンターに、壁面一杯に普段見たこともないような色とりどりの珈琲カップが並ぶ。
マスターが客の顔をみながらコーヒーを入れてくれる。
とても賑わってはいたが、本当に安らげる時間をそこで過ごすことができた。
それから、千住で特別な時間を過ごす時は、二人で訪れるようになっていた。

時がたち僕らは結婚し、妻の実家近くに家を構えた。子供が3人。
いつのまにか子供優先の生活に追われ、夫婦で過ごす時間を失っていた。
「あの頃よくいっていた【珈琲物語】に行きたいね。」というのが、二人の口くせのようにもなっていた。
数年前のクリスマスイブ、妻のお母さんより子供達3人の世話をするから二人で出かけてきたらと言われ、
二人で、数年ぶりに街に出かけた。二人だけの特別な時間、気がつくと二人で【珈琲物語】にいた。

おしゃれして、あの頃を思い出しながら、ふたりだけの時間を過ごす。
子供達や普段の生活のことを忘れて、少しだけわがままさせてもらったひと時。
昔のように、相手のことだけを考えて向かい合う時間を過ごすことができた。
あっという間の時間であったが、忘れられない時間となった。

上質な珈琲とくつろぎの空間。
付き合い始めの頃は、背伸びしないといけない店という感じではあったが、
二人の時間を過ごした思い出は忘れられない。
その場所が、今の住まいの近くにいつまでも変わらずに存在するということも嬉しい。
最近は新しいスタイルのカフェも増えつつあるが、千住といえば珈琲物語。
僕たちにとっては、大切な思い出の場所だ。